ワクシング

たぶんチューンナップ作業のなかで,最も多くの回数を行うワクシング.ワクシングは基本的に一回,一日滑るごとに,毎回塗るべきだと思います.絶えず機械の歯車に注油して油を切らさないように,滑走面からもワックスを切らさないようにするイメージです.

ワクシングで最も重要なのは,滑走面のゴミをとることと,佐々木明のサービスマンだった伊東さんがおっしゃっていました.まず初めに,ワックスが残ってなくても,必ずスクレ―ピングを2,3回行ってごみを取り除く.その後に,スチールブラシで更に滑走面のごみを取る.スチールブラシは,結構強めに,ごしごしやっても大丈夫だと思います.

アイロンの温度は,必ず,ワックスに記載されている温度に合わせたほうがいいと思います.温度が高すぎるとワックスが焦げたり大量に溶けて滑走面に過剰に落ちたりしてしまいます.逆に温度が低すぎると,ワックスが足りなくなったり,なかなか溶けずに作業に時間がかかってしまうと思います.

ホットワクシングをする前に,滑走面に薄く生塗りをして滑走面を熱から守るテクニックもあります.一瞬で終わる作業ですし,どう考えてもマイナスには作用しないので,やるに越したことはない作業だと思います.

つい,よくワックスを滑走面にしみこませたくて,じっくりアイロンをかけてしまいますが,それでは熱で板を壊してしまいます.アイロンを長くゆっくり滑走面に乗せるのはやめたほうがいいと思います.いつのまにかビンディング部分の滑走面に凸凹ができたことはありませんか?そのほとんどの原因がアイロンの熱によるものです.滑走面までにしか熱をくわえないイメージで手早く塗ります.ワックスを滑走面にしみこませるには,一回でゆっくりしみこませるのではなくて,軽く何度も塗ってはがしてを繰り返して滑走面にワックスをしみこませるようにします.

アイロンは細かく動かす必要はありません.手早く一定の速度で静かに進めれば,ワックスは滑走面全体に伸びます.また,ペーパーを使うときれいに仕上がります.

スクレパーは作業の前に必ず毎回研いだほうがいいと思います.無駄な力と時間が省けます.一つの角でスキー板一本分が目安です.さまざまなスクレパーを研ぐ道具がありますが,個人的には波目の長いファイルが一番だと思います.真っ直ぐ研げます.ハンディな小さな研ぎ器は便利ですが,スクレパーが直線に研げないときがあります.

スクレイピングの後にかけるブラシはブロンズ素材のブラシを用います.滑走面よりやわらかくワックスよりは硬いので,滑走面に残ったワックスを排除するのに最適です.ナイロンや馬毛では,滑走面の細かい溝の中のワックスを掻き出すことができません.

本来であれば,練習も常に毎回ワックスをはいだ状態で練習すべきだと思います.ワックスがついたままだとスピードが出なくて練習の質が落ちますし,大量のゴミが付着します.できるのであれば毎回,練習前にはがしたほうがいいと思います.

2018/10/20